一昨年、高校3年生で宝塚音楽学校を受験し、1次試験に合格した佐々木陽さんに
レッスンのこと、受験当日のこと、今の思いや生活、これからの夢・・・
たくさん語っていただきました!
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――宝塚を知ったきっかけは何ですか?
私は愛媛出身で、観劇会のようなところで親と舞台を見る機会が多かったのですが、高校2年の夏に全国ツアーで宝塚を初めて生で観ました。それまでは宝塚を知ってはいたんですが、受けたいとは思ったことはありませんでした。
――宝塚を観るまでに、他の舞台を観て、舞台に立ちたいと思ったことはなかったですか?
とても恥ずかしがりやなので、そういう気持ちにはならなかったです。
――宝塚はその気持ちを変える魅力があったんですね?
はい!
――全国ツアーで宝塚を観て、すぐに受験しようと思ったんですか?
高校2年で受験することも出来たのですが、何も準備していないし、もっとすごい方たちが受けるものだと思っていたんです。でも、高校3年になって、ずっと大人になっても後悔するのが嫌だから、受けてみようと思いました。
――では準備は1年未満だったんですね。
そうなんです。クラレスにも高校3年の夏から来させて頂きました。
――それまでにバレエなどやったことはありましたか?
バレエは小学校の頃からやっていたんですが、歌やダンスなどは初心者でした。
――バレエは自分でやりたいと思ったんですか?
小学生の頃にフィギュアスケートをやっていて、バレエも必要かなと思ったんです。
――そうなんですね。宝塚を受験することについて、ご家族やお友達はどんな反応でしたか?
母には伝えたんですが、父には冬頃まで言っていなくて、友達は誰にも言ってなかったんです。
――ひっそり受験したんですね!?
そうなんです(笑)。
――お母さんは応援してくれましたか?
両親がピアノの先生なので、皆、音楽が好きなのですが、母は私ほど舞台が好きなわけではなくて。でも、やりたいことをやりなさいと言ってくれました。
――お父さんは冬にお話したときはいかがでしたか?
びっくりしていましたが、応援してくれて、毎日レッスンが終わった後にマッサージをしてくれたりしました。
――優しいお父様!お友達には?
幼なじみには話したんですが、そうだろうなと思っていたと言っていました(笑)。
――試験の結果はいかがでしたか?
2次試験で落ちてしまったのですが、泣かなかったんです。1次試験に受かったときは、すごく嬉しくて涙が出てきたのですが。出来ることは全部やったし、受験出来ない人もたくさんいるのに、1回でも受けることが出来て良かったと思ったんです。
――やりきった思いがあったんですね。
満足というか、受験当日もそこまでの準備の時間も、全てが楽しかったです。
――ご家族の皆さんはどんな風に迎えてくれましたか?
2次まで行かせて頂いて感謝の思いで帰ったら、「頑張ったね、1次が受かっただけでもすごいよ、大学でもっと大きくなってね」と励ましてくれました。
――とても前向きな応援ですね。
結果が出たあとに、今まで言っていなかった学校のクラスのみんなに言おうと思い、全員が入っているLINEに隠していたことを全部言ったんです。みんなが「おつかれさま」と言ってくれました。
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――先程フィギュアスケートをやっていたというお話でしたが、フィギュアはどうしてやめたんですか?
中学から高校までアーチェリー部に所属していたんです。部活を本格的にやろうと思い、忙しくなってやめました。
――ちなみにアーチェリーはどうしてはじめようと思ったんですか?
幼なじみにアーチェリー部に連れられていって、そこで自己紹介をしてしまって、抜け出せなくなってしまったんです(笑)。入らなければいけないわけではありませんでしたが、先輩の前で自己紹介をするという経験がそれまでになかったので、怖くなってしまいました。
――なるほど(笑)。でも、きっかけってそういうものかもしれないですね。バレエはその後続けていたんですか?
週に1回は通っていました。でも、アーチェリーをやるからには本気でやろうと思ったんです。宝塚を高校3年で受験したのは、アーチェリーを中途半端にしたくなかったので、引退してから受験しようと思ったんです。
――だから、宝塚受験も一生懸命取り組んだんですね。
インターハイが夏なので、それを終えてから宝塚受験に切り替えて集中しました。でも、部活焼けで真っ黒だったんです(笑)。先生方に美白をしようねと言われて、毎日日傘と日焼け止めで過ごしていました。
――続けていたバレエと、クラレスの他に、何かレッスンをしましたか?
ジャズダンスも習いたいと思って、ダンススタジオに学校の帰りに毎日通いました。そこのダンススタジオは、いろいろ学べて、バレエ、ジャズ、モダンなどを学びました。ちょうど部活の変わりに毎日通った感じです。
――教室は近くにあったんですか?
学校から20分ぐらい、家からバスで40分くらいのところにありました。帰りは23時ぐらいになってしまい遅いので、迎えに来てもらっていました。
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――クラレスは何で知りましたか?
受験スクールに通いたいと言ったら、自分調べて行きなさいと言われて、インターネットで調べて見つけました。いかにも受験スクールという感じは怖いという思いがあったので、クラレスが良いと思いました。最近まで活躍されていた方に教えて頂けることもすごいと思いました。
――レッスンを受けてみて、いかがでしたか?
バレエが苦手で、付いていくのに必死だったんですが、ひとりひとり丁寧に見て頂けて、頑張らなきゃという気持ちがすごく大きくなりました。上手い人も多くて自分はこのままではダメだと思いました。先生方も厳しいですが優しく教えてくださって、楽しく、充実していました。
――クラレスを選んだ決め手が、講師ということでしたが、実際にレッスンを受けていかがでしたか?
オーラがすごくて、キラキラしていらして・・・!素敵だなと思い、こんな風になりたいと思いました!ひとりひとりに確実に教えてくださいますし、すべての言葉が勉強になるんです。ダメ出しの時間も的確にアドバイスくださいますし、自分では気づけていないことがたくさんありました。バレエの長澤さんもひとりひとり細かく丁寧に教えてくださって・・・。クラレスに通って本当に良かったなと思っています。
――アドバイスで何か印象に残っていることはありますか?
私はバレエが苦手なんですが、自分の癖を言われたときは、ハッとなりました。表情に癖が出てしまうんです。バレエと歌のときに、表情が死んでしまうと言われました。苦手意識が顔に出てしまうんです。「もうひとりの踊りの上手い自分を想像で作って踊るといいよ」とあすかさんに言われてたのが印象に残っています。
――他の生徒さんたちの雰囲気はいかがでしたか?
ピリピリしていなくて、自分も頑張りつつお互いも励ましあうような感じで、アットホームな雰囲気に安心出来ました。愛媛から受験する人ってすごく少なくて、でもひとりじゃないんだなと思えました。
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――1次試験のときはどんな思いで望みましたか?
あすかさんたちに言われたことを頭に入れて、それを全部出来るようにしました。あと単純に、音楽学校の中ってこんな感じなんだと思ったり、この人が受験番号が隣なのかとか、お手伝いしてくださる仮本科の方がきれいだなと思ったり(笑)。
――結構余裕がありますね(笑)。そういうことも楽しめたんですね。
はい(笑)。
――大学受験はしていたんですか?
はい。12月に受験してミュージカルの勉強ができる大学に合格していました。
――宝塚がダメだったとしても、ミュージカルの方向に行きたいというのは決めていたんですか?
そうです。
――控え室で待っている雰囲気などはどうでしたか?
控え室は講堂の前のお部屋なのですが、私はかなり長い時間待ちました。他のスクールの人たちが固まっているのを見て、少し萎縮したりもしましたが、私は私と思っていました。1次試験は初めて入る教室の雰囲気で、少しだけ緊張はあったんですが、面接だけだからクラレスで教えられたことを全部控え室で思い出して、イメージトレーニングをしていました。
――試験官の先生はどうでしたか?
宝塚の有名な先生方を目の前にして、圧倒されてしまって、出身校を間違えてしまったのですが、そのとき先生方や後ろにいる他の受験生たちに笑われて(笑)。それで急にリラックスして最後まで笑顔で出来たから、良かったかなと(笑)。
――(笑)。試験が終わって音楽学校から出てきて、手応えはありましたか?
間違えてしまったのが少しだけショックだったのですが、自分に大丈夫だと言い聞かせました。
――終わったあとはどうしましたか?
宝塚ホテルに泊まっていたので、ホテルに帰りました。
――ご家族がいらしていたの?
ひとりだったんです。
――すごいですね! 不安じゃなかったですか?
そうですね。でもクラレスのレッスンのときもひとりでホテルに泊まっていたので。母は忙しくて、愛媛から飛行機でくるのは大変だから、もう高校3年生だしひとりで行くといったんです。お部屋でスカイステージが見られるから、さみしくなかったですし(笑)。
――翌日の合格発表はいかがでしたか?
翌朝に携帯で見て、泣いてしまいました。すぐにクラレスにメールで報告しました。合格発表から2次試験までの間にレッスンをしてくださるんです。
――レッスンはいかがでしたか?
今まで教えて頂いたことの最終確認ができて安心しました。試験曲の一番気をつけることや、模擬試験のような感じでバレエを軽くやって頂いたり、面接の練習などをしました。気をつけていても、出来ていないことを教えてくださったので、そのレッスンがあって本当に良かったなと思います。何もしないで1日過ごしたら不安だし、緊張して過ごすことになったと思うので、2次試験前に身体を動かすことができて、先生や他の受験生に会えて良かったですね。
――そして2次試験ですね。
2次試験に行く朝にあすかさんたちが一緒に準備してくださいました。ヘアを直してくださったり、ウォーミングアップや発声ができる空間を用意してもらったり、励ましの言葉をかけてくださって、音楽学校までタクシーで送ってくださいました。ひとりだったら本当に不安だったと思うんですが、先生方と雑談などもして、安心しました。
――試験が終わってからはどんな時間を過ごしたんですか?
2次試験の後は、先生がお部屋に呼んでくださって、試験のことをいろいろと伝えました。確か、2次試験の結果がその2日後に出たんですが、それも携帯で見るんです。そのときは泣かずに「あ、ないなー」と思って、クラレスに連絡しました。その後に母が来てくれて、一緒に今まで我慢していた大きなケーキとクリームシチューを一気に食べたんです(笑)。
――ケーキとシチューで元気になったんですね。
すごく美味しかったです(笑)。
母と宝塚を少し回り、帰ってすぐに大学の準備をしました。入学式が4月1日だったので、その翌日には東京に行って家を借りて、急いで家具など生活必需品をそろえました。
――入学式が早かったんですね。1次試験から数えると1週間近く宝塚にいたことになりますが、宝塚の舞台を観にいったりはしなかったんですか?
観ました……(笑)。
――(笑)。
2次試験の結果を待っている日に、宙組さんの「TOP HAT」を見ました!
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――これから受験する方のために、教えて頂きたいのですが、控え室にはどのくらい前に着いていたらいいでしょうか?
1次試験は1人で行ったので早く着き過ぎてしまって、すごく待ちました。これから受験される方は早く行き過ぎない方がいいと思います。10分前ぐらいで十分です。
――2次試験の順番を教えていただけますか?
まず、講堂に並んで試験の番号を渡されて、順番に呼ばれるんですが、まずバレエとジャズ(モダンのようなシアターダンス)の振り移しを最初にします。人によって試験の順番は違うのですが、私はまず新曲視唱、面接をしました。そのあとすごく待ってダンスの試験がありました。振り移しから5時間後ぐらいたっていたと思います。それからまた待って、最後に歌でした。仮本科の方にも「疲れたでしょう?」と声をかけて頂きました。朝9時に集合して、終わったのは夕方でした。もう、本当に待った記憶しかないですね。だから、待ちながらちょっと寝ていました(笑)。
――控え室はどのくらいの人数で待っているんですか?
結構多かったですね。ストレッチする場所もあまりなくて、人をまたいで行くような状況です。ストレッチやバレエを踊っている人もいたんですけれど、全員ができるようなスペースはなく、発声ぐらいでしょうか。私がいた教室は、鏡もなかったので、面接の確認も出来なくて、ひたすら発声や歌をやっていました。
――ダンスの振りや、新曲は思っていたのと比べていかがでしたか?
意外と簡単でした。クラレスでもう少し難しい振りをやっていたおかげで、全然難しい振りに感じませんでした。創作のリズムダンスレッスンにすごく苦労していたんですが、突然リスムダンスがなくなって(笑)、かわりにジャズダンスが試験に加わったんですが簡単で短かったです。
――新曲も難しくなかった?
はい、難しくなかったです。
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――佐々木さんの今について聞かせてください。大学生活はいかがですか?
自分の好きなことを毎日できるし、クラレスで先生方に教わったこともすべて役に立っています。同級生に宝塚を受験した子も多いんです。
――どんな勉強をしているんですか?
ジャズ、バレエ、ボイストレーニングや、大勢でやるアンサンブルなどあります。実技が多いです。
――受験が終わって、宝塚を受験したことについてはどう思っていますか?
受けて本当に良かったと思ってます。この経験があって、これからも役に立つだろうと思いますし、実は泣き虫だったんです。でも、宝塚を受験すると決めてから強くならないといけないと、泣かないで頑張りました。メンタル的にも成長出来たかなと思います。
――今、レッスンの日々を振り返っていかがですか?
いろんなことが苦手で、落ち込んだりもしたんですが、全部のレッスンが為になりました。それが今に繋がっていると思います。
――これから受験しようと思っている方や迷っている方、そしてClassy Membersのみなさんへメッセージをお願い致します。
受験出来ることやレッスンに通えることを両親に感謝しなさいとクラレスでいつも言われていて、人に感謝することが大切だと思ったので、これから受験する方たちも、そういう気持ちを大切にしてほしいです。そして、自分は何も出来ないからと思って受験をやめるのではなく、何でも挑戦してほしいなと思います。クラレスの先生方も本当に素晴らしい方々なので、すべての言葉を受け取って、私も成長出来たと思いますし、みなさんも成長出来ると思いますので挑戦してほしいと思います。
――佐々木さんの今の夢はなんですか?
舞台女優になることです!先日東宝芸能のオーディションに受かったんです!あすかさんの後輩になれて・・・また夢に向かって頑張ります!